大根と油揚げの煮物2021年03月10日 15:03





本日の日替わり料理は・・・


大根と油揚げの煮物 200円


白菜とほうれん草のおひたし 200円


揚げたて!しいたけの天ぷら 2個180円
              3個240円


本日もやはり、PM4時半~PM8時(最終入店はPM7時)までの時短営業ですが、今晩はどんなお客さんと会えるだろうかと楽しみにしておりますので、ぜひのご来店を♪



ここからは『サクシネマ』です。

地味な映画ですが、ジーンとしてしまいました(T_T)


『太秦ライムライト』(2014年)


↑の画像右上に《5万回斬られた男 福本清三 初主演作》とありますように、この映画は約60年間時代劇の斬られ役を生業としてきた福本清三さんの生き様そのもののような内容になっています。


香美山清一(福本清三さん)は京都の太秦(うずまさ)では知らない者はいないほどのベテラン斬られ役です。

長年続いてきた時代劇ドラマ『江戸桜風雲録』が、時代劇人気の斜陽のあおりでとうとう終わってしまうことになり、香美山やその他大勢の斬られ役俳優はメインの収入源を失ってしまうことになります。

『江戸桜風雲録』の主役の尾上清十郎(松方弘樹さん)は、香美山に、

「いつかまた斬らせてくれ」

という言葉を贈って、太秦を去って行きました。

『江戸桜風雲録』に代わって始まったのは、若者向けのアクション新時代劇『ODANOBU』(織田信長ですね 苦笑)でした。

昔ながらの時代劇はせず、時代劇の常識も取り払って・・・という監督と主役の方針を香美山は理解できず、結果として干されてしまいます。

太秦映画村内のチャンバラショーで、細々と斬られ役をつづける香美山。それでも香美山は殺陣の稽古を休むことはありません。香美山のそんなストイックな姿に感銘した新人女優の伊賀さつき(山本千尋さん)は、頼み込んで香美山に弟子入りをします。


それからは二人三脚で、来る日も・・・


来る日も稽古の日々でした。


この稽古の甲斐あって、さつきはチャンスをものにして上京し、その後主役を務めるほどの人気女優になります。

一方、香美山はというと、長年酷使してきた左肘が限界に達してしまい、チャンバラショーで刀を落としてしまったのを機に、斬られ役俳優を引退して故郷に隠遁してしまいます。

自身の主演ドラマの撮影で久しぶりに太秦に帰って来たさつきは、香美山とぜひ共演したいとプロデューサーに熱望し、自ら香美山の故郷へと出向きます。

左肘がもう・・・と共演を拒む香美山を説得し、さつきはとうとう、憧れだった香美山との共演を実現させます。


出番前にかつての師匠の
 香美山の鬢(びん)を整えるさつき。


さつきは香美山と稽古の日々だったときに、

「いつか香美山さんと斬ったり斬られたりするのが夢なんです

と言っていたのですが、それがとうとう叶う日が来たのです。さつきのその胸中を察すると、このシーンで胸がつまりました。

香美山にしてみても、もう二度と時代劇の舞台に戻って来れるとは思っていなかったのに、復帰できるうえに、かつての弟子であるさつきと共演できるのですから、感無量に違いありません。

しかも、共演はさつきだけではありませんでした。


香美山は尾上清十郎とも刀を交えます。


そして、さつきとも。


香美山の人生の晩年に訪れた僥倖・・・。


香美山の斬られ役としての見事な最後を
     どうぞご覧ください(*´ー`)


《5万回斬られた男》の肩書を持つ福本清三さんは、今年の元旦に逝去なされました。享年77歳でした。

福本清三さんは《エビ反り》という独特な死に方を代名詞としていて、この映画でもそれを見ることができます。知ってる人なら、「おー!」と声が出てしまうことでしょう。

劇中でさつきに稽古をつけている香美山が、こう言うシーンがあります。

「一生懸命にやっていれば、どこかで誰かが見ていてくれるもんだ」

このセリフは香美山がというより、福本清三さん自身の言葉にぼくには聞こえました。福本清三さんも、そういう思いで、主役を照らす斬られ役に徹してきたのでしょう。

どこかで誰かが見ていてくれる・・・

その誰かの存在を見逃してはいけません。その人は、自分にとっての運命の人だからです。

陰ながらの努力の大切さを、この映画で再認識させられました。

福本清三さんのご冥福を心からお祈りいたします。